リタイア―盲導犬の老いを見つめて郡司 ななえ
ハート出版 刊
発売日 2005-07
オススメ度:★★★★
故ある別れの悲しさ。 2005-11-04
『べルナのしっぽ』で多くの読者を感動させた郡司さんの新作と言うことなので、読んでみた。
『ベルナのしっぽ』では、盲導犬とユーザーの強い結びつきが
老いゆくベルナが盲導犬として働くことができなくなっても、
その臨終にいたるまでを一緒に暮らし介護しとおしたことが
盲導犬のけなげさと共に感動を与えた。 一愛犬家としては、この本で紹介されている出会いと別れについて
特別な感慨は抱きません。
むしろ盲導犬であることを止めるときの別れの寂しさは
ユーザーにとっては心の負担を小さくするために必要なことと思いました。
途中で何度も飼い主が変わるという事実が
時として誤解を生むこともありますが、
単なるペットであっても、その死が強烈な悲しみを伴わせることを思えば
半ば強制的にリタイアさせる仕組みは、
ユーザーにとっても盲導犬にとっても必要なことなのでしょう。 本作では、リタイア後の盲導犬の生活を追い
ボランティアによって余生を幸せに暮らす犬たちや
老犬ホームでの生涯を全うする犬たちを取材しています。
また、今作では様々な盲導犬ユーザーに取材し、
リタイアを決意した心の動きなども紹介しています。
浮かび上がってくるすべての関係者の姿は
私たち普通の犬と暮らす者たちと変わりありません。 愛犬の死を眼前にするより、リタイアによる別れが悲しくないということはありません。それぞれのユーザーはパートナーの幸せを心底望んでいるのだと教えられます。 一般の飼い主となんら変わることのない愛情を感じてください。
さらに詳しい盲導犬・東陽レックス情報はコチラ≫PR