犬に尊敬される飼い主になる方法―ドンとハリーの飼い主しつけ教室マルコ ブルーノ
ハート出版 刊
発売日 2003-05
犬達の本音と基本的「犬権」を傾聴する 2004-08-30
現代日本のペット事情を背景に、社会に共存する犬の立場からその本音や基本的「犬権」が代弁されている。一般に、飼い主に忠実で従順なことをよい事に、人の立場から犬をどう手なずけるかというハウツーものが多いが、ついに、我慢を重ねた犬達の代表が立ち上がり、人間社会の不合理を指摘している。語り口も新鮮で、はっとさせられる個所が随所にある。犬達の訴えを傾聴し、人と犬、社会と犬のあり方を見直さなければならない。私の家にも5月から犬が家族の一員として加わり、その存在は随分と家族を和ましている。初めての室内飼いでどうなるか心配したが、今は極自然になって、もはや外で飼うことは考えられなくなった。家族の動きや気分をよく理解していることもわかった。つい、芸でも覚えてくれればと思ったりするが、犬にとって大切なのは飼い主のリーダーシップと愛情、社会に出て行く上で、基本的に理解しておかなければいけない指示は「ゴー」「ストップ」「ウエイト」であることも改めて確認した。華やかなペットブームの陰で数多くの犬が犠牲になっている事実は犬を飼い始めてやっと気づくことかもしれない。犬が溶け込みにくく、臭いものに蓋をして取り繕う社会では、深刻なペット事情は、犬を飼っていない人には特に気づかれにくい。野良犬を見かけないこと自体、実は不気味なことだ。そう言えば、アテネオリンピック開催直前に、市内の野犬をどうするかという問題が起こっていた。しかし、市長は「観光客の中に、そんなに犬嫌いがいるとは思えない」と述べ、そのまま開催に望んだ。穏やかな表情で歩道に寝そべる犬たちの姿が映し出されていた。家で飼ってもらえなくても、市民で飼っているということなのだろう。体裁だけを気にする社会とは違うところが印象に残った。
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